2020年に新型コロナウイルス感染症が蔓延したことにより、自宅でのレコーディング環境を見直すミュージシャンをたくさん見かけました。そんな中、「どんなマイクを買ったらいいのか分からない」「ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違いって何?」「ファンタム電源が必要ってどういう意味?」など、機材について相談を受ける機会が増えました。
本記事では「自宅でレコーディングする際のおすすめマイク」を中心に、初心者の方に分かりやすく「マイクの種類や特徴」についてご紹介していきたいと思います。
1.マイクの種類について
レコーディングに使われるマイクには大きく二種類あります。一つが「コンデンサーマイク」、もう一つが「ダイナミックマイク」です。
コンデンサーマイクは感度が高く、部屋の中の小さな音も拾います。一般的にはレンジが広く(低い音から高い音まで音を拾い)、振動や湿気には弱く、値段も高価なものが多いです。また、コンデンサーマイクを使用するには「ファンタム電源」が必要になります(後述)。
ダイナミックマイクは感度が低く、コンデンサーマイクに比べると繊細ではありません。一般的にはレンジもコンデンサーマイクに比べると狭い反面、振動や湿気には強く丈夫に作られています。値段も安価なものからあり、ファンタム電源は不要です。
コンデンサーマイクは感度が高く、部屋の中の小さな音も拾います。一般的にはレンジが広く(低い音から高い音まで音を拾い)、振動や湿気には弱く、値段も高価なものが多いです。また、コンデンサーマイクを使用するには「ファンタム電源」が必要になります(後述)。
ダイナミックマイクは感度が低く、コンデンサーマイクに比べると繊細ではありません。一般的にはレンジもコンデンサーマイクに比べると狭い反面、振動や湿気には強く丈夫に作られています。値段も安価なものからあり、ファンタム電源は不要です。
ファンタム電源について
「ファンタム電源」とはコンデンサーマイクを動作させるのに必要な電源のことです。
実際に新しい電源(機材)が必要ということではなくオーディオインターフェイスやマイクプリなどについている機能で、「48V」と記載されているボタンやスイッチをONにすることにより、コンデンサーマイクに必要な電源が供給されます。
この時、ファンタム電源とマイクを繋ぐケーブルはキャノンケーブル(XLRケーブル)である必要があります。フォンケーブルでは電源の供給が出来ないので注意してください。
実際に新しい電源(機材)が必要ということではなくオーディオインターフェイスやマイクプリなどについている機能で、「48V」と記載されているボタンやスイッチをONにすることにより、コンデンサーマイクに必要な電源が供給されます。
この時、ファンタム電源とマイクを繋ぐケーブルはキャノンケーブル(XLRケーブル)である必要があります。フォンケーブルでは電源の供給が出来ないので注意してください。
2.初心者おすすめのコンデンサーマイク
◆RODE ( ロード ) / NT1-A
初心者おすすめのマイクで有名な一本。ボーカルやアコースティックギターを宅録するなら持っていて損は無いマイク。また、ナレーションなどの声の収録にもおすすめなので、実況動画や動画配信、ラジオ収録にも活躍する一本です。比較的フラットに、そして後述のAT4040に比べると丸く音を録ってくれる印象です。
◆audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040
筆者が初めて買ったコンデンサーマイクがこの「AT4040」です。渋谷の某楽器屋さんへ足を運んで、マイクの聴き比べを行い、自身の予算と照らし合わせた結果たどり着いた一本。低価格帯のコンデンサーマイクは比較的「ハイ(高い音)が強く出やすい」のですが、このマイクはそこまで強く感じることはなく、出音をそのままフラットに録ってくれる印象です。
購入する際に定員さんが「先日、ギタリストの○○さんが2本買っていきましたよ」と仰っていたので、「一線級のミュージシャンでも使うマイクなんだ」と思った記憶があります。
◆RODE ( ロード ) / NT5
こちらは予算に余裕があればペアで購入した上で、ピアノなどステレオでレコーディングしたい時におすすめのマイク。他にもドラムやパーカッションのオーバーヘッドや弦楽器の収録にも適しています。アコースティックギターのレコーディングでも空気感を録りたい場合にはホール付近とは別にオフマイクとしてNT5を立てるのもアリです。
初心者おすすめのマイクで有名な一本。ボーカルやアコースティックギターを宅録するなら持っていて損は無いマイク。また、ナレーションなどの声の収録にもおすすめなので、実況動画や動画配信、ラジオ収録にも活躍する一本です。比較的フラットに、そして後述のAT4040に比べると丸く音を録ってくれる印象です。
◆audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040
筆者が初めて買ったコンデンサーマイクがこの「AT4040」です。渋谷の某楽器屋さんへ足を運んで、マイクの聴き比べを行い、自身の予算と照らし合わせた結果たどり着いた一本。低価格帯のコンデンサーマイクは比較的「ハイ(高い音)が強く出やすい」のですが、このマイクはそこまで強く感じることはなく、出音をそのままフラットに録ってくれる印象です。
購入する際に定員さんが「先日、ギタリストの○○さんが2本買っていきましたよ」と仰っていたので、「一線級のミュージシャンでも使うマイクなんだ」と思った記憶があります。
◆RODE ( ロード ) / NT5
こちらは予算に余裕があればペアで購入した上で、ピアノなどステレオでレコーディングしたい時におすすめのマイク。他にもドラムやパーカッションのオーバーヘッドや弦楽器の収録にも適しています。アコースティックギターのレコーディングでも空気感を録りたい場合にはホール付近とは別にオフマイクとしてNT5を立てるのもアリです。
3.初心者おすすめのダイナミックマイク
◆SHURE ( シュアー ) / SM58
ダイナミックマイクの定番ともいえるSHUREのSM58。ライブハウスで見かけるミュージシャンも多いかと思いますが、世界中で愛されているボーカルマイクの一つ。ボーカリストや歌い手さんがダイナミックマイクで迷ったら、まずはこのマイクをおすすめします。
また、末尾に「S」がつく「SM58S」というモデルもありますが、こちらは性能はSM58と同じでマイクのON/OFFのスイッチがついています。ライブシーンよりもスピーチや演説といった場面におすすめです。
◆SHURE ( シュアー ) / SM57
SM58がボーカル用マイクに対して、SM57は楽器用マイクです。アコースティックギターの収録からドラムやカホンのレコーディングにも使える、SM58と同じく楽器用のダイナミックマイクに迷ったらこのマイクをおすすめします。
◆SHURE ( シュアー ) / BETA57A
同じくSHUREのマイクのBETAシリーズ。基本的にBETA58はボーカル用、BETA57は楽器用に分かれますが、BETA57に関してはボーカル用に使うミュージシャンも多く万能ダイナミックマイクの一つです。
また、SMシリーズは「カーディオイド」、BETAシリーズは「スーパーカーディオイド」というマイクの指向性を持っていて、SMシリーズに比べてBETAシリーズは横からの音を遮断しハウリングを削減してくれますが、正面からしっかりと音を乗せる必要があります。
ダイナミックマイクの定番ともいえるSHUREのSM58。ライブハウスで見かけるミュージシャンも多いかと思いますが、世界中で愛されているボーカルマイクの一つ。ボーカリストや歌い手さんがダイナミックマイクで迷ったら、まずはこのマイクをおすすめします。
また、末尾に「S」がつく「SM58S」というモデルもありますが、こちらは性能はSM58と同じでマイクのON/OFFのスイッチがついています。ライブシーンよりもスピーチや演説といった場面におすすめです。
◆SHURE ( シュアー ) / SM57
SM58がボーカル用マイクに対して、SM57は楽器用マイクです。アコースティックギターの収録からドラムやカホンのレコーディングにも使える、SM58と同じく楽器用のダイナミックマイクに迷ったらこのマイクをおすすめします。
◆SHURE ( シュアー ) / BETA57A
同じくSHUREのマイクのBETAシリーズ。基本的にBETA58はボーカル用、BETA57は楽器用に分かれますが、BETA57に関してはボーカル用に使うミュージシャンも多く万能ダイナミックマイクの一つです。
また、SMシリーズは「カーディオイド」、BETAシリーズは「スーパーカーディオイド」というマイクの指向性を持っていて、SMシリーズに比べてBETAシリーズは横からの音を遮断しハウリングを削減してくれますが、正面からしっかりと音を乗せる必要があります。
4.どっちを買ったらいいの?
コンデンサーマイクとダイナミックマイクそれぞれをご紹介しましたが、実際に自宅で宅録レコーディングをする場合「どっちのマイクを買ったらいいの?」と迷われる方もいると思います。
筆者としてはボーカリストや歌い手さん、アコースティックギターの弾き語りをする方はコンデンサーマイクの使用をおススメします。
その中でも個人的には「audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040」をおすすめしています。下位モデルのAT2020や同価格帯でAKG(アーカーゲー)のC214やC3000も初心者向けモデルとして楽器屋さんなどで紹介されていますが、マイクの特性を考えると比較的フラットに録れるAT4040をおすすめします。
筆者としてはボーカリストや歌い手さん、アコースティックギターの弾き語りをする方はコンデンサーマイクの使用をおススメします。
その中でも個人的には「audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040」をおすすめしています。下位モデルのAT2020や同価格帯でAKG(アーカーゲー)のC214やC3000も初心者向けモデルとして楽器屋さんなどで紹介されていますが、マイクの特性を考えると比較的フラットに録れるAT4040をおすすめします。
筆者おすすめのコンデンサーマイク
初心者向けではありませんが、筆者おすすめのコンデンサーマイクをご紹介したいと思います。マイク以外の機材の話も出てきますが、参考までにご覧ください。
◆NEUMANN ( ノイマン ) / TLM67
ノイマンといえば「U87」が有名ではありますが、個人的には「TLM67」も同等に優れたマイクだと感じています。TLM67は真空管を使用せずにU67のサウンドを再現しているところがポイント。真空管は時間が経過するとノイズが入り交換が必要になりますが、TLM67にはその心配もなくノイマンのパフォーマンスを存分に発揮してくれています。
また、他のマイクにも言えることですが、真空管のあたたかい音が欲しい場合は真空管を使用しているマイクプリを通すことで補うことも可能です。個人的にはBAE ( ビーエーイー )の「1073DMP」がおすすめです。
◆AKG ( アーカーゲー ) / C414 XLII
こちらはペアで購入することをおすすめします。レコーディングスタジオでは定番マイクの一つですが、びっくりするくらい綺麗に音が録れます。同モデルの「XLS」との購入を迷う場合、ボーカルやアコースティックギターを録るなら「XLII」、ピアノや打楽器を録るなら「XLS」というイメージです(これは筆者の好みです)。
また、「C414 XLII」とチャンネルストリップ「SSL( ソリッドステートロジック ) / Alpha Channel」の組み合わせでアコースティックギターを録ると、これ以上ない良質な音で録れます。Alpha Channelに音を通すことでC414のスペックを満遍なく発揮できると思います。
◆NEUMANN ( ノイマン ) / TLM67
ノイマンといえば「U87」が有名ではありますが、個人的には「TLM67」も同等に優れたマイクだと感じています。TLM67は真空管を使用せずにU67のサウンドを再現しているところがポイント。真空管は時間が経過するとノイズが入り交換が必要になりますが、TLM67にはその心配もなくノイマンのパフォーマンスを存分に発揮してくれています。
また、他のマイクにも言えることですが、真空管のあたたかい音が欲しい場合は真空管を使用しているマイクプリを通すことで補うことも可能です。個人的にはBAE ( ビーエーイー )の「1073DMP」がおすすめです。
◆AKG ( アーカーゲー ) / C414 XLII
こちらはペアで購入することをおすすめします。レコーディングスタジオでは定番マイクの一つですが、びっくりするくらい綺麗に音が録れます。同モデルの「XLS」との購入を迷う場合、ボーカルやアコースティックギターを録るなら「XLII」、ピアノや打楽器を録るなら「XLS」というイメージです(これは筆者の好みです)。
また、「C414 XLII」とチャンネルストリップ「SSL( ソリッドステートロジック ) / Alpha Channel」の組み合わせでアコースティックギターを録ると、これ以上ない良質な音で録れます。Alpha Channelに音を通すことでC414のスペックを満遍なく発揮できると思います。
5.まとめ
●宅録レコーディングにおすすめのマイクはコンデンサーマイク
⇒その中でも「audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040」がおすすめ
⇒定番コンデンサーマイク「RODE ( ロード ) / NT1-A」もおすすめ
●コンデンサーマイクにはファンタム電源が必要
⇒オーディオインターフェイスについている「48V」のボタンをオンにすれば電源は供給される
⇒コンデンサーマイクとオーディオインターフェイスはキャノンケーブル(XLRケーブル)でつなぐ
●ピアノなどステレオで録りたい場合は「RODE ( ロード ) / NT5」
⇒アコースティックギターを録る際のオフマイクとして使用してもよい
PC(DAWソフト)とマイクとオーディオインターフェイスさえあれば、とりあえずレコーディングは可能です。高品質なものを目指す場合は高価な機材が必要になってきますが、エントリーモデルで試行錯誤しながら良い音を録れるようになると、機材がグレードアップした際に音質も一気に向上します。
筆者としては「高価な機材を安易に使ったサウンド」よりも「安価な機材を工夫して録ったサウンド」の方が本質的(技術的)な価値があると思っています。楽器屋さんへ行けばマイクの聴き比べなどをさせていただけるお店もあるので、ご自身にあったマイクを探してみてください。
(文/村瀬 宏志)
⇒その中でも「audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT4040」がおすすめ
⇒定番コンデンサーマイク「RODE ( ロード ) / NT1-A」もおすすめ
●コンデンサーマイクにはファンタム電源が必要
⇒オーディオインターフェイスについている「48V」のボタンをオンにすれば電源は供給される
⇒コンデンサーマイクとオーディオインターフェイスはキャノンケーブル(XLRケーブル)でつなぐ
●ピアノなどステレオで録りたい場合は「RODE ( ロード ) / NT5」
⇒アコースティックギターを録る際のオフマイクとして使用してもよい
PC(DAWソフト)とマイクとオーディオインターフェイスさえあれば、とりあえずレコーディングは可能です。高品質なものを目指す場合は高価な機材が必要になってきますが、エントリーモデルで試行錯誤しながら良い音を録れるようになると、機材がグレードアップした際に音質も一気に向上します。
筆者としては「高価な機材を安易に使ったサウンド」よりも「安価な機材を工夫して録ったサウンド」の方が本質的(技術的)な価値があると思っています。楽器屋さんへ行けばマイクの聴き比べなどをさせていただけるお店もあるので、ご自身にあったマイクを探してみてください。
(文/村瀬 宏志)